日本語と英語を自在に使い分け、現在は東京を拠点に活動するラッパーのMIYACHI(ミヤチ)が、沖縄のCHICO CARLITO(チコ・カリート)とタッグを組みました。ニューシングル「CHOTTO CHIGAU」と、その楽曲のミュージックビデオが公表されています。Mass Appeal Recordsからリリースされる同曲は、MIYACHIにとって新章の幕開けを告げる一曲で、彼の新境地が披露されています。

タイトルに込められた“ちょっと違う”という言葉
海外向けの説明では、「CHOTTO CHIGAU(ちょっと違う)」は直訳すると“少し違ってる”という意味だと紹介されています。ただし日常会話では、もう少し鋭いニュアンスを持つ言葉だといいます。はっきり“いいえ”と言わずに相手の間違いを伝える日本人の手法で、“そうじゃない”という意味を、優しく礼儀正しく、肩をすくめるように伝える表現です。使われる場面の例としては、同僚がアイデアに対して言うとき、親が服装について言うとき、間違った商品を指差したときに店員が言うときが挙げられています。
MIYACHIにとってこのフレーズは、生まれてからずっと耳にしてきた静かなる否定です。同時に、自身の体験から築いたアイデンティティでもあります。ニューヨークと日本の両文化を行き来しながら育った彼は、ある場所では日本的すぎ、別の場所ではアメリカ的すぎました。そのため、どちらにいても“ちょっと違う”存在であり続けたといいます。この曲での“ちょっと違う”は、もはや批判ではなく、彼自身にとっての勲章として描かれています。
リリックの随所に隠された「違う」
フックでは“あいつらと俺たちは違う”と明言されます。彼らの話し方は“ちょっと違う”し、日本人の中でも“ちょっと違う”というわけです。トラックの至るところには、“間違いない”“レベチ”“一味違う”といった、すべて「違う」を基にした言葉が仕込まれています。
MIYACHIはたった一小節で、ニューヨークから糸島、福岡へと続く自身の歩みを結びつけます。そのすべてを一皿に盛り合わせ、“俺とカリートはピザ&タコライスみたいに最高だ”と締めくくります。ニューヨークのピザと、アメリカの影響から生まれた沖縄料理であるタコライスの融合です。
CHICO CARLITOが描く沖縄
沖縄・那覇出身のCHICO CARLITOは、テレビのバトルラップ番組『フリースタイルダンジョン』の“初代モンスター”として名を馳せました。最近ではAwich、ONE OK ROCK、Paleduskらとともに、コレクティブYAOに参加しています。同曲で彼は“隣にわさび、俺、紅生姜”とラップします。わさびは本州を、紅生姜は沖縄そばに山盛りにされる赤い生姜を指しています。さらに“混ぜ合わせれば花火だ”“給料が上がるのを見ろ”というラインも登場します。2番目のヴァースでは英語に切り替わり、沖縄のイメージが随所に散りばめられ、沖縄の象徴である守護獅子のシーサーも登場します。
MVは東京での長い一夜を追う
ミュージックビデオ「MIYACHI x CHICO CARLITO – “CHOTTO CHIGAU” (OFFICIAL VIDEO)」の公開日時は、10月30日19時(日本時間)です。監督を務めたのは、オランダを拠点とするコレクティブのレッド・ムーンズ(Red Moons)です。アンツライブ(AntsLive)やロニー・フレックス(Ronnie Flex)などの作品をはじめ、200本以上のヒップホップビデオを手掛けてきました。映像は、MIYACHIとCHICO CARLITOが東京で過ごす長い一夜を追います。煙が立ち込める焼肉屋のカウンターから、踏切や屋上を抜けて、世界クラスのレコーディングスタジオへと向かいます。曲の冒頭でMIYACHIがラップする“スタジオに火をつけるのが待ちきれない”を、レッド・ムーンズは文字通りに受け止めて映像化しました。
MIYACHIは「日本では誰かに“ちょっと違う”と言われるたびに、それは俺のやり方が間違っているという意味でした。それが重要だと気づくまでには何年も掛かりました。この新章では、あえて“ちょっと違う”自分を披露します」とコメントしています。CHICO CARLITOも「沖縄は東京とは常に“少し違う”ものだった。俺たちはそれを自分たちのサウンドに転化。MIYACHIはそれをニューヨークの側から受け止めた。だから、こんなに上手く行ったんだ」と語っています。
日系アメリカ人ラッパー・MIYACHIの歩み
MIYACHI(リオン・ミヤチ・パール)は1993年ニューヨーク生まれの日系アメリカ人ラッパー/YouTuberです。ニューヨークのストリートと東京の間で育ち、東洋と西洋、そして自身のバイレイシャルなアイデンティティを、ブーンバップ、トラップ、ジャパニーズ・ソウルを融合させたサウンドへと昇華させています。2017年のシングル「K.M.」でキャリアをスタートし、2019年のデビューアルバム『Wakarimasen』で日本のヒップホップシーンでの地位を確立しました。また、「Mainichi」と、Leon Fanourakisや¥ellow Bucksらを迎えたリージョナル・リミックスは、日本の多様な音楽シーンを映し出しています。2022年のアルバム『Crows』では、東京のサラリーマンたちの葛藤と夢を描きました。
「Konbini Confessions」は、ベージュのスラックスをマイクに持ち替えたMIYACHIが、深夜の街で見知らぬ人々の本音に迫るインタビューシリーズです。YouTube登録者数20万人超、総再生回数数百万回を誇ります。2025年10月には、Nasが共同オーナーを務める米ヒップホップレーベルMass Appealと、日本で活動するアーティストとして初めて契約しました。また、アルバム『SALARYMAN STRIKES BACK(サラリーマンの逆襲)』もリリースしています。「CHOTTO CHIGAU」はほんの始まりで、MIYACHIの新たな章では、さらに多くの音楽やビジュアルが控えているとのことです。
- 作品名:コラボ・シングル「CHOTTO CHIGAU」(配信中)
- アーティスト:MIYACHI & CHICO CARLITO & Doc Pauly(ミヤチ & チコ・カリート & ドック・ポーリー)
- レーベル:Mass Appeal
- ミュージックビデオ:MIYACHI x CHICO CARLITO 「CHOTTO CHIGAU」(10月30日19時公開/日本時間)