初代・野原しんのすけ役 声優・矢島晶子さんが語る!プロの心構えと声優業界のリアル

声優の仕事は多岐にわたる!アニメーションだけじゃないプロの世界

トークショーの冒頭で矢島さんが解説したのは、声優という職業の幅広い活躍の場です。アニメーションのキャラクターに命を吹き込むだけでなく、外国映画の日本語吹き替え、ナレーション、ゲームボイス、さらには街中や駅のアナウンス、カーナビゲーションの音声、オーディオブック、語学教材の日本語音声など、その活動は多岐にわたります。

アニメーションでは、キャラクターに「人間味を吹き込み、観ている方の心に届ける」役割を担い、外国映画の吹き替えでは「日本の文化や言葉のニュアンスに合わせた表現で、架け橋を渡す」役割があると語られました。また、声優の仕事は一人で完結するものではなく、監督、演出、作画監督、音響効果、スタジオスタッフといった数多くのプロフェッショナルとの共同作業であり、チームワークの重要性が強調されました。

デビュー当時の苦い失敗談から学んだプロのマナー

矢島さんは自身のデビュー当時のエピソードも披露しました。もともと舞台役者を目指し、一度は一般企業で働いていたという異色の経歴を持つ矢島さん。声優の道へ進んだものの、初のアフレコ現場でマイクワークを教わっていなかったため、先輩方の動きについていけず、音響監督から何度も叱られたという苦い経験を明かしました。この経験から、「絵をしっかり見ることやアフレコの仕組みを必死に勉強した」と語ります。

トークショー中の矢島晶子さん

さらに、服装や身だしなみについても言及。「穴の空いたスニーカーで現場に行っていた」というエピソードから、「相手に不快感を与えない最低限の清潔感や身だしなみを整えることは、一緒に働く相手へのマナー」であると教わったと振り返りました。挨拶や笑顔といった大人としてのマナーが、現場で気持ちよく仕事をする上でいかに重要であるかを、自身の経験を通して伝えてくれました。

オーディションは「落ちて当たり前」?プロの世界で心を折らない秘訣

プロの声優を目指す上で避けて通れないオーディションについても、矢島さんから実践的なアドバイスが送られました。一つの役に数十人から数百人が挑むため、不合格になる経験の方が圧倒的に多いのがプロの世界です。心が折れないためのメンタル維持の方法として、以下の点を挙げました。

  • 落ちてもへこみすぎない: 今回はご縁がなかっただけ、と割り切ること。

  • 一回一回のお芝居に全力を尽くす: 「誰かの心に残りますように」と毎回全力で取り組むことで、次のチャンスに繋がる可能性がある。

  • 受かった人の演技を見て研究する: 何が求められていたのかを分析し、次へと活かす。

また、近年は事務所内での選考を通過しなければオーディションすら受けられない厳しさがあるため、「日常的な挨拶やマナー、やる気を見せること」がチャンスを掴むことに繋がると語り、未来の声優たちを鼓舞しました。

進路に悩む若い世代へ「柔軟な心と、日常の経験を大切に」

トークショーの終盤では、参加した中高生に向けて、将来へのヒントとなる温かいメッセージが贈られました。「一番伝えたいのは『柔軟でいましょう』ということです。好きなことを一直線に目指すのも素晴らしいですが、固執しすぎず、柔軟な心でいてほしい」と語り、自身の経験から、ベストマッチする仕事はきっと見つかると励ましました。

表現者として、そして一人の大人として日頃から取り組むべきアドバイスも惜しみなく提供されました。

  • 家事や日常の自立: 一人暮らしができるよう、身の回りのことを自分でできるようにしておくこと。

  • 自分を落ち着かせる方法を持つ: メンタル管理のために、自分に合ったリラックス法を見つけておくこと。

  • 日常の経験を芝居の「引き出し」にする: 喜怒哀楽あらゆる経験を大切に保管し、演じる時に引き出せるようにすること。

  • 言葉の勉強: アナウンサーの話し方を参考にしたり、音読や録音を繰り返したりして、言葉の力を磨くこと。

参加者からのQ&Aコーナーでプロの技に迫る!

イベント後半の質問コーナーでは、来場者からの疑問に矢島さんが丁寧に答えました。

質問に答える矢島晶子さん

Q1. 声優に必要な力として「演技力」「声」「コミュニケーション能力」の内、一番大切なのは?

「全部です!」と即答。演技力は基本中の基本ですが、現場は人と人との繋がりで成り立っているため、コミュニケーション能力も不可欠。そして「この声を聞くと癒される、元気が出る」と思ってもらえるような、人の心に届く声の力も大切であると語りました。

Q2. キャラクターの声はどのように作っているのですか?

「作ろうと思って作っていない」という意外な答え。台本を読み込み、ト書きや絵の表情、シーンの気持ちを素直に汲み取れば、自然と声や表現が出てくるとのこと。頭で考えすぎず、まずは自然に演じてみることが大切だとアドバイスしました。

Q3. 長年『野原しんのすけ』を演じる中で大切にしていたことは?

5歳児のしんちゃんに対して憧れを抱いていたという矢島さん。「堂々としていて本当に自由で、いいなと」感じていたそうです。演じる上では「自然体でお芝居をすること」「リアルに演じること」をモットーとし、時代の変化に無理に合わせるのではなく、常に自然さを大切に画面に向き合っていたと語りました。

Q4. AIによる音声合成/生成技術が進む中、人間の声優だからこそできることは?

「心を持った生きてる人間だからこそできる、感情のこもった表現です。これだけは絶対にAIには負けません。」と力強く語り、会場からは大きな拍手が送られました。AI技術が進化する時代においても、人間の声優が持つ「心」が表現の核となることを再認識させてくれる言葉でした。

感動と勇気を与えたトークショー

今回のトークショーは、参加者にとって大変貴重な経験となりました。参加者からは「声優の仕事の幅の広さを知り、驚きとともに、より一層の魅力を感じた」「すごい声優さんにもデビュー当時には失敗があるのだと、逆に勇気をもらった」「『1つ1つの芝居に全力を尽くす』というお言葉に感動した」といった様々な感想が寄せられ、将来エンターテインメント業界を目指す中高生にとって大きな刺激となったようです。

学校法人立志舎では、今後も「好き」を自信に変え、その「好き」に関するプロを目指す学びを提供するためのイベントを多数実施していくとのこと。未来を担う若者たちの夢を応援する取り組みに、これからも注目が集まります。

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